Gallery MORYTA

岸田淳平 展 - 二千年の冬色 -

Junpei Kishida Exhibition

2000年11月11日(土) - 11月30日(木)
岸田淳平 展 - 二千年の冬色 -

こんな人生があってたまるか。
だけど、涙もかれる。せつなさを、言葉にすると嘘になり、絵にするとつまずく。
それが人生とはおもわないが、そんな人の生もあるかな、とおもったりする。
二千年の流れのなかに、ひとつの生として、たしかにあった。
それだけだ。
いまも、いまも、時はすぎてゆく。    

岸田淳平


ぼくは、絵が色や形で成り立つという常識を、常識としては持っていないのかもしれない。なにか、それ以上の思い込みを、絵に対して抱いているのかもしれない。
 

 何年前だったか、たしか、まだ年号が昭和の頃、板橋区立美術館に長谷川利行のまとまった展覧会を、古い女ともだちとみに行った。ぼくたちがあの白という色を、色をつくる色としてはしゃいでいた頃、この画家はもうとっくの昔に、野垂れて、死んでいた。だが、利行の色は、どの色も快活に生きている。世間の人の言うところのカラリストとはちがう。なによりも、白を白の色として、描いている。すこしもはしゃいではいない。ちいさな厚紙にちいさな林檎が三個、油絵具で描かれていた。画面のほとんどが白く、明るかった。だけど、その三個の林檎は、実に哀しく、実に淋しく確実に存在していた。
 

 ああ、もう白い色は、使えないな。その絵の前で、ぼくは、わけもなくそうおもった。
ぼくの目の前が、冬の暗い海のようにおもえた。

岸田淳平

                       


■ Opening 11月11日(土)pm4:00~ 「岸田淳平を囲んで」