Gallery MORYTA

堀越千秋 展 -スペインスケッチブック -

Chiaki Horikoshi Exhibition

1998年2月25日(水) - 3月15日(日)
堀越千秋 展 -スペインスケッチブック -

アンダルシアが育んだカンテ・ブーロの生きた伝統を誰よりも歌い上げる生粋のカンタオール。飾りけのない渋さの中に、奥深い情熱のドラマを秘めたカンテ・フラメンコの真髄。
モジリアニの恋人だったという老女が、カフェで足を組んでいる。刑事が大きな拳銃を担いで走り回る.....。


  スペインは、誰もがピカソの勢いと、短気と、粗放をもっている「芸術国家」だ。
スペインへ来てみれば、スペイン人は、みな、ピカソであった。肉屋は大学ノート大の包丁を振り回し、何本かの左指は失われているのだった。左官も歯医者も弁護士も床屋もエカキも、みなピカソの勢いと、短気と、粗放とを持っていた。

  エカキどもは老若を問わず豪胆に、当てずっぽうに仕事をするから、滅法早い。ベラスケスでもゴヤでも、画布に目を近ずけてみると、遠目の重厚さを裏切るようなウス塗りと、雑な筆致である。これを「日本的な言い方」でいうと「上手いから少ないタッチで決まるのだ。」となるが、それは間違い。スペイン人というものが、そもそも短気で、雑で、力強いのだ。それに細心さが加わると、ベラスケスやゴヤやピカソやミロの出来上がり。矛盾する両極を具有することが、才能である。
                               堀越千秋

■ Opening 2月25日(水)
第一部 pm4:00 「堀越千秋を囲んで」


第二部 pm8:00 「カンテ/フラメンコ・フェスタ」
出演:堀越千秋 / ファン・ゴルド・アグヘータ
前売り ¥4.000 当日 ¥4.500


アグヘータ一族を迎えて <Agujetas>


 アグヘータと言えば、フラメンコの世界では知らぬ人はいないというほど、知られた存在だ。かつて来日していろいろ騒ぎ(?)を巻き起こしたマヌエルは、僕が思うに現在カンテ・ヒターノを唄わせたら右に出るものはいない。 今若者に受けている、コマーシャルにどっぷりつかった有名な連中なんぞ、逆立ちしてもかないっこないすごい男なのだ。
 

 マヌエルの兄ファン。そして義兄弟のミゲル。普段プロとしては活動しておらず、昔ながらの生活をしながら唄いたい時に唄う。アンダルシアが育んだカンテ・プーロであり、深い情感の中に素朴な温かさを感じる。そして自然な唄い口と黒い音色を持った唄声は一級品だ。


  プーロとは、形ではなく精神であり、言葉でいうのは至難だが、そこには飾り気のない自然さがあり、他には媚びを売らない品性と格調があり、深く魂の底から発せられる黒い音、声がある。 そして野生をアルテという一本の糸が絶妙な即制でたぐり、我々を吸い込む。 日本でもかつてないほどカンテ愛好熱が高まってきている中、本物のカンテ・ヒターノが聴けるこの機会は、すべての愛好家へのすばらしい贈り物だ。

エンリケ坂井